その1ではアニメ全体の感想やキャラクター別の感想を書きましたが、その2ではヨハンとラストシーンを中心に考察していきたいと思います。
以下はネタバレですので、未見の方はご注意ください。
■ヨハンの覚醒
最終話の穏やかな空気が一変した、ヨハンの告白シーン。
ネットの感想を見ると、アニメで初見の人ほど、このシーンを怖いと感じたようで。私も原作で初めて読んだ時はページ見開きヨハンに度肝を抜かれましたが、今では怖いというよりも哀しいといった感情のほうが勝っています。私にとってこのシーンは悲痛以外の何物でもありません。
突如目を覚ましたヨハンと、目を見開いたまま動けないテンマ。ドクン、ドクンと響く心臓の音はたぶん、ヨハンとテンマ二人の音でしょう。
この時、おそらく二人はあの終わりの風景の時のように同調していると思います。荒野の風景をテンマに見せた時と同じように、過去の記憶を直截的にテンマに見せているのです。
(この解釈だと超能力といった類の力になってしまいますが、洗脳に秀でたヨハンがこういった能力を持つのも不思議ではないのかもしれません。ロベルトにココアの思い出をよみがえらせた彼ならあるいは…)
だからあの過去の映像はテンマの白昼夢ではなく、明らかにヨハンの意思が入っていたと思います。夢オチなどでは決してなく、ヨハンはテンマにメッセージを送っているのです。
「Dr.テンマ……あなただけに聞いてほしいことがある」
ニナにも誰にも言えず、今まで心にしまうだけだったあの記憶。終わりの風景を共有し、二度も命を救ってくれたこの人ならわかってくれるかもしれない。そしてあの記憶を話した後も、それでも変わらずに母親に愛されていたとやはり言うのだろうか……?
そんなヨハンの思いが伝わってくるのが、この一言でした。
■母親の選択
ヨハンがすべてに対して虚無感を抱くようになってしまったのが、母親が双子を選択したこの瞬間。
このシーンに、ヨハンが最初の殺人を犯した時や「なまえのないかいぶつ」の朗読の時にかかっていたあの曲を持ってくるとは思いませんでしたが、ざらざらした映像と愁いのある曲が、この残酷なシーンをより悲愴なものにしていました。
その1でも触れましたが、こちらでも一応。
最初は子供達を連れて行かれないように必死だった母親が、「これは実験だ。どちらかを残してどちらかを連れて行く」とボナパルタに言われた途端、選択をしてしまったのはなぜでしょうか。
せめてどちらか片方が助かるのならと考え、ニナを差し出し、ヨハンを残したとも考えられますが、私は母親が片方の子を助けるためにやったとは思っていません。
母親は自分の子を怪物にしてボナパルタへ復讐させるため、自分と同じ女であるニナを差し出したのでしょう。ボナパルタの「これは実験だ」という言葉を聞いた瞬間、母としてではなく復讐心の塊のような人間に陥ってしまったと。
「私は許さない。私の中でどんどん大きくなっていく子供達が、必ずあなたに復讐する」
彼女はこの言葉を実行し、自分の子供を復讐の道具に使ったのです。
結果としてヨハンのほうが復讐を果たしたわけですが、バラの屋敷に連れて行かれるほうが怪物になると考えるのが妥当な気がします。
故に母親はヨハンとニナ、二人の区別がちゃんとついていたと私は思っています。
「こっち……いえ……こっち」は、どちらを差し出せば復讐できるのかを逡巡した結果なのであって、双子がどちらなのかわからなかったわけでも、二人を間違えたということでもないはず。
子供達を選別するという残酷な罪を犯した母親ですが、双子のどちらがどちらかわからない、そこまで愚かな人間だとは思えないのです。
シューバルトがヘレンカ(マルゴット・ランガー)のことを尋ねに、三匹のカエルで双子の母親と語り合うシーンがあります。母親の傍らで二人の話を聞いている双子は、まだ男の子、女の子とわかる姿でした。
母親は最初からヨハンに女装させていたわけではなかったのですね。
(ちなみに、他人が容易に訪ねて来たことに危機感を抱いた母親が、この時をきっかけにして双子に同じ格好をさせるようになったと思っています)
そんなふうに双子を男の子と女の子、別々であると認識して暮らしていた時期があったわけで、母親が双子を間違えることがあったとは思えません。これは本当に個人的な解釈ですが。
それでもヨハンが、自分を助けようとしたのか、ニナと間違えたのか、母親に対して疑念を抱いているのは仕方のないこと。
母親は実験によって双子の名前を忘れていました。そのせいで子供達に対して「こっち」という言い方しかできなかった。
また、ボナパルタから逃げ隠れるため双子と思われないようにヨハンをニナと同じ格好にさせていたことも大きいでしょうね。
名前も姿かたちも、何ひとつ自分らしいものを持つことを許されなかったヨハン。母親が自分と妹を個別に認識できていたかなんて、彼にはわかりようがないのです。
母親から選択されたことで、自分のすべてを否定されたように思ってしまったこと。
母親が自分とニナ、どちらを愛していたのかわからないこと。
あるいはどちらも愛していなかったかもしれないこと……。
あの選択によって、ヨハンは自己のアイデンティティを失いました。
さらに、ニナが引き渡された後、母親もすぐにどこかへ連れて行かれ(母親はボナ博士と一緒だった?)、三匹のカエルでひとりぼっちになったヨハン。彼が母に捨てられたと思うのは必然だったのでしょう。
■「いらなかったのは、どっち……?」
「母さんは僕を助けようとしたの……? 僕と妹を間違えたの? どっち……? いらなかったのは、どっち……?」
「君は母親から愛されていたんだ」と言うテンマに過去を見せて、「これでも本当に愛していたと言えるの?」と突きつけるかのように、テンマに母の愛情を問うヨハン。
ヨハンが発したこの言葉、哀しいと同時に、なんて無垢で純粋なんだろうと思いました。その口調もあって、まるで小さな子供のよう。
だから私にとっては、ヨハンはかわいそうな子供です。怖い仮面を被った……被っていた小さな子供。母親に選択された時から、彼の心はずっと時間が止まったままだったのでしょう。
その止まっていた時間を動かしたのがテンマです。もう一度救ってくれたテンマだからこそ、初めて自分の思いを吐露することができた。
それでも夢という曖昧な形でしか伝えられなかったのは、怖かったからでしょうね。ヨハンはテンマの反応と答えが恐ろしかったのではないでしょうか。
けれど実際、夢としてではなく、現実にこの言葉をぶつけていたら、テンマはなんて言ったのでしょうね。あんなむごい過去を見せられて、すぐに言葉が見つかる人間はそうはいないでしょうから……。
■本当の怪物
本当の怪物とは、人間そのもの。
他作品でもよく見るテーマではありますが、結局そういうことなんだと思います。
ヨハンも母アンナもフランツ・ボナパルタも、そして511キンダーハイム出身者達も、みんな人間だからこそ起きた悲劇です。
母への絶望と自己の否定、ニナへの罪悪感から怪物になったヨハン。
ボナパルタに憎悪を募らせるあまり、狂気に囚われてしまった、母・アンナ。
他人を自分の思い通りに支配して、神になる欲望を抱いたボナパルタ。双子の母親に恋して欲望を放棄したものの、その恋心からバラの屋敷の惨劇を引き起こすことに。
幼少時に洗脳を受け、名前と記憶をなくした511キンダーハイム出身者達。彼らは誰よりも感情を欲していた人間だった。
すべては人間がもたらしたこと。この一言に尽きると思います。
■消えたヨハン
人によって様々な解釈があるのがラストのヨハンの行動。
窓が開いていたことから飛び降り自殺したと推測している人もいれば、母親を殺しに行ったという人、そもそもヨハンは存在しなかったという人も。
もちろんどの予測もなきにしもあらずでしょうが、どれも救いがなく、何よりテンマやヨハンが葛藤したあの日々は何だったのかということになるので、私は別の予想です。
ヨハンは母親に選択された記憶を思い出してから、母に捨てられたのだとずっと思っていました。それなのにテンマから信じられない一言が。母親が双子を愛し、本当の名前を付けていたと言うのです。ヨハンは耳を疑ったはず。だからこそテンマに選択の記憶を見せてまで母親の愛情を問うたのです。
結局テンマから答えを聞くことはしなかったヨハンですが、テンマの言うことが本当なのか真実を知りたいと思ったでしょう。本当の名前を知りたいと。ヨハンはそれを確かめるために母に会いに行ったのではないでしょうか。
彼がその場にいたことを示す、痕跡を残したままのベッド。光が差し込み穏やかな風に吹かれている病室。これらは、ヨハンが救われたことを暗示しているのではないかと思っています。
もうヨハンは怪物じゃない。
「ANOTHER MONSTER」を読んだ今も、その思いは変わりません。
■ヨハンの今後
最後は妄想を含めた予想です。寛容な方だけお読みください……。
もうね、この際テンマは、ヨハンもニナもディーターもみんな引き取ってしまえばいいんですよ。三人ともテンマを父親のように慕っているわけだし(ニナは微妙?)、テンマ先生責任取りなさいよと。それで仲良くピクニックですよ。
だいたい当のテンマが孤独ですからね。いっそ家族を作っちゃいなさいよと。
テンマが国境なき医師団で留守の時は、ライヒワイン先生の所に押しかけてしまうのもいいかもしれない。ライヒワイン先生はみんなのおじいちゃんですから。この三人の他にも、休みの日はみーんな入り浸って。ってありえないですか、そうですか。
もしくはヨハン達三人とも国境なき医師団に付いてっちゃったり。あ、弁護士志望のニナは無理か…。ヨハンなんかその才能を生かしてテンマの助手だってできるはず。うん、いいかもしれない。死だけを見てきた彼が、これからは生も見ていくと。
……と妄想しつつも、ヨハンがまっとうな生活を送ろうとする時点で、法律的な問題が山積みなわけだけれども。数え切れないほどの罪を犯したけれど、それをすべて立証するのは難しいでしょうし、何より旧体制下の国家犯罪に翻弄されたヨハンを裁くことができるのかといった問題も孕んでいますからね。
また、ヨハンを利用しようとする人間もごまんといるでしょうから、国としては彼の扱いに困るような気もします。ヨハンはこれからどうするのでしょうね。
母親に教えてもらった本当の名前を名乗ることにして、新しい人生をやり直す。それが一番いいような気がします。ヨハンにとっては生を見つめることが殺めた人々への償いになるとも思いますし……ってこれは甘すぎでしょうか。でも今までのヨハンのことを思うと幸せになってほしいと願わずにはいられないのです。
そして仲良し家族計画を(ry
……かなりの長文になってしまいました。考察するうちにどんどん書きたいことが増えていってこんなことに。
ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました。
■キャラクター考察
■MONSTER 記事の一覧リスト
このブログのMONSTER関連の記事をまとめて載せています。
(隠しコメントだったので伏せさせていただきますね)
アニメのMONSTER、ちゃんと録れているか私もいつもドキドキしていました。野球で時間がずれることも多いから、そのつど日テレサイトの番組表で確認して。
見逃した回はDVDをレンタルか購入してでも観る価値がありますよ。大好きなアニメはたくさんありますが、私にとっても「アニモン」は別格の存在になりました。
浦沢作品は本当にすごいですよね。私は「MONSTER」(原作・アニメ)の他、アニメ版の「YAWARA!」と「MASTERキートン」を少し観ただけですが、最近「PLUTO」の1巻を購入しました。期待を裏切らず面白かったですよ。むしろ切なかった…。
MONSTERのラストですが、ヨハンには幸せになってもらいたいですね。ニナに許され、テンマに再び助けてもらったのだから、もう死だけが平等だとは思っていないと信じています。
ニナとテンマは、どうなんでしょうね? 私はヨハンも交えて家族になってくれればそれで満足なのですが(笑)
アナザーでニナのキンダーハイムの先生が言っていたように、ヨハンも今までに立ち直るチャンスが全く無かったわけではないだろうと思いますが、結局ヨハンはあの時から時間を動かすことが出来なかったのですよね。哀れな子供ですね・・・。
しかしアニメのラストのシーンは、どんぐりさんが仰るとおり、穏やかな光と風の描写に少し安心させられました。ヨハンにもそう哀しくは無い未来があるのではないかなというのは願望でしょうか・・・。
な、仲良し家族計画!ゆゆ夢です・・・!
これでどんぐりさんのモンスター記事は終わってしまわれるのかなと淋しく思っていましたが、アナザーについてもまた書かれるということで、とても嬉しく感じています!楽しいにお待ちしております!
それでは、長文失礼しました。
(ところでモンスター同盟というものがあったのですね!とても可愛いアイコン・・・)
母親の選択が復讐のためだったと思ったのは、歳を取った今の母親が自分を本当の怪物だと責めていたからなんです。精神を病むほど苦しんでいるのは、片方の子を助けるためといった母親らしい理由ではなかったのかなと。
だからこの考えだと、おっしゃる通り双子への否定になりますね…。三匹のカエルでひっそりと暮らす双子にとってはあのお母さんがすべてだったでしょうに…。
>結局ヨハンはあの時から時間を動かすことが出来なかった
ヨハンが不幸なのは、生い立ちもそうですが、高い知能も持ってしまったことでしょうね。本来ならあんな小さな子供が大の大人を殺すなんてできないけれど、彼はボナ博士から逃げるために(存在を隠すために)どんどん人を殺していける能力を持っていた。
ヨハンに必要なのはまさしく人の愛情だったのに、殺人を犯したせいで唯一愛していたアンナに撃たれて。本当にかわいそうな子供です…。
アニメのラスト、原作以上に穏やかで光が溢れていましたよね。スタッフの方もヨハンの未来をあの映像に託してくれたのかな?とちょっとだけ思ったり。
仲良し家族計画は夢ですよね…! テンマ先生、お願いしますよ(笑)
MONSTER自体が人によって解釈が分かれる作品ですが、ネットで感想を見るとANOTHERもバラバラみたいですね。もうちょっと読み込んでから、記事にしようかなと思っています。
ミサキさんのサイト更新も楽しみにしています。
新作の成長したディーターも素敵でした…! リフティングの動きが今にも伝わってきそうな。あの子はかっこよくなるだろうな〜。
先ほど最終回の感想1.2と全巻読んだ感想を拝読したのですが、もう拍手です!! もう本当に同感で! 今ものすごく感動しています……!
私もヨハンは母親の元へ名前を教えてもらいにいったんだと思います! 同じ考えの方が居て本当に嬉しい……!
テンマが訪ねた母親のフランスで吹いた「風」が、ヨハンの病室に届いたんですよね…(泣) だからきっとその風の生まれた場所、母の元へ行くはずだと私は思ってました。テンマも名前を内緒にしたままでしたしね(笑)。完璧お膳立てしますよね?テンマ先生(笑)。
>時間が止まったままのヨハン
まさに! 私、ちょっと心理学をかじったことがありまして、よくわかるんですよヨハンの求めていた事が。児童心理学の観点からもこの状態の子供がする事が、その後のヨハンの行動を如実に示していて面白かったです。
と、また別にデヴィド・シルヴィアンのOP曲の歌詞も興味深くて。ゲーテの戯曲『ファウスト』を思い出します。
Dr.ファウストが「時よ止まれ! 汝はいかにも美しい!」と悪魔メフィストと魂の交換をするという……。
はっ私も長文女でして申し訳ないです! つい語りたく……(汗)。
やっとアニメ全話を観終わって、これから原作と『ANOTHER〜』を読もうとしている状態で、今ブログとHPでアニメの感想を最初から書こうと思ってますので、その時にまたTBなどさせて下さいませ。
それで、ぜひぜひ当ブログとMONSTERファンサイトにリンクさせて下さい! よろしくお願いします。<(_ _)>
最後に、サッカーお好きなのですね! 私も最近セルティックの中村俊輔のファンになりましたv またそちらの方でもお邪魔させて頂きたいと…。
それでは、MONSTERファンの方とまた出会えて、そして素晴らしい考察の感想を拝読できて、感動しました! またお邪魔させて下さいませ!(^-^)
実は私もyukiさんのブログとサイトにお邪魔させていただいているので、コメント嬉しかったです。ありがとうございます!
>テンマが訪ねた母親のフランスで吹いた「風」が、ヨハンの病室に届いたんですよね…(泣) だからきっとその風の生まれた場所、母の元へ行くはずだと私は思ってました。
わあ、素敵な考察ですね!
ヨハンならその能力を以ってすれば、今までも母の居所を知ることなんて簡単にできたはずなんですよね。でも会うのが怖くてできなかったと。あのラストの後、母親に会うことで初めて自分と向き合うことができるようになるのかな…と思います。
テンマが名前を内緒にしていたのはお膳立てなんですね(笑) ヨハンの背中を押したことになりますもんね。
yukiさんは心理学に触れられたことがあるんですね。それを踏まえてヨハンの心理を読むと、一層深い考察が生まれそうです。
デヴィッド・シルヴィアンの歌詞をファウストになぞらえるというのも面白いですね。私は文学には疎いのですが、興味が湧いてきました。
yukiさんのアニメと原作、ANOTHERの感想が楽しみです。とくにANOTHERにどんな感想を抱かれるのか気になります〜。
わわ、リンクもしていただけるのですか?
同じ俊輔ファンでもあり(笑)こちらこそよろしくお願いします!
それでは素敵なコメントありがとうございました!
まだ前半部分、ニナが失踪した頃の部分は見てませんが、最終回までは見ています。
母親ですが…選んだのはやっぱりヨハンだからじゃないですか?
ヨハンは、母親が自分と妹を見分けがつかない事もあったと言ってましたし、アンナが家に戻ってくる間、ずっとアンナの格好をしていたっていうのは、母親がヨハンだと判らなかったからではないのでしょうか。
だから、ヨハンは「いらないのはどっち?」と言ったのでは。
現在、小説のもうひとつのMONSTERを読んでいます。この作品は余りにも難解なので。
最終回は結果を読者に任せた手法でしたが、私はヨハンのMONSTERは消し去ることが出来ないものだと思うのです。だから、「怪物」なんだと。
>ヨハンは、母親が自分と妹を見分けがつかない事もあったと言ってましたし
ええと、作中でヨハンははっきりと断定はしていませんよね?
「母さんでも見分けがつかなかったろ?」(バラの屋敷、母の肖像画の前で)
「僕と妹を間違えたの?」(最後の病室で)
というふうに、自分と妹の見分けがついていなかったのかもしれないと疑念を抱いているだけで、本当に見分けがつかなかったのかどうかは、当の母親しか知りえないことです。
それでも私は、母親は双子の見分けがついていたうえで、アンナを実験に差し出した(選んだ)と思っていますが。
>ずっとアンナの格好をしていたっていうのは、母親がヨハンだと判らなかったからではないのでしょうか。
これは、母は見分けがつかなかった(=自分を愛していなかった)と思い込んだヨハンが、それを認めたくないがために妹と自分を混同、同一化(君は僕で、僕は君)した結果が、あの女装だと思うのですが、いかがでしょうか。
「いらなかったのは、どっち?」という台詞も、親の愛情を求めるヨハンの心情を率直に表したものだと思います。
>私はヨハンのMONSTERは消し去ることが出来ないものだと思うのです。だから、「怪物」なんだと。
私と逆ですね(^^; 「僕の中の怪物…僕の中じゃなかった…外側にいたんだ…」というヨハンの台詞、最終章のタイトルが「本当の怪物」であることから、ヨハン=怪物の図式が崩れるのがMONSTERという物語だと思っているので。
テンマに再び命を助けられたこと、本当の名前があったことを知ったヨハンは、もう自分を知る人間を殺そうとはしないと信じています。
それでは、コメントありがとうございました。
で、やっぱりラストで残された謎が気になって、何か面白い分析でもないものかとネットを泳いでおりましたところ、こちらでどんぐりさんがお書きになっている感想が一番面白いと感じました。登場人物それぞれの苦悩や葛藤を評する視点が、矛盾なく面白く読めました。
私もヨハンの中の怪物は消えないんじゃないかなぁと思う派ではございますが、悔い改めて母親の元に戻るヨハンのお話も、女性的で素敵だなと思いました。
あ、私は男です。申し遅れましたね。
・・・実は、私もMONSTERを観終わった後の感想文を書き込もうと思って、書いてみたのですが、思ったより長くなってしまったのでバッサリカットしてしまいました。
まぁ、要約すると、仮定の話で色々と妄想を膨らませるのも楽しいなぁという話でした。
例えば、ヨハンは結局どうなったのか。きっと、100人いれば100通りの考察があるのでしょうね。
MONSTER感想、面白いと言っていただけて嬉しいです。ありがとうございます。
観点が女性的とのことですが、言われてみればそうかもしれません。ちょっと感傷的な文章に偏りすぎたかなあという気がしないでもないですが、モモさんの「100人いれば100通りの考察があるのでしょうね」の言葉通り、中にはこんな感想があってもいいですよね。
>仮定の話で色々と妄想を膨らませるのも楽しいなぁという話でした。
これ、わかります! 特にMONSTERは読者に推測・妄想させるような形で終わっているので尚更ですよね。私も最初はこんなはずじゃなかったのに、気づいてみればMONSTERのことばかり考えている毎日です……。
>私もヨハンの中の怪物は消えないんじゃないかなぁと思う派
ああ、モモさんはそうなんですね。いや、私も「もう怪物じゃない」なんて口では言っていますが、あれほど多くの人を殺してきたヨハンが何事もなかったように普通の人として生きるのは、実際難しいだろうなとも思います。
ただ、浦沢さんの温かい(悪くいえば甘い?)作風とキャラクター造形が、結局はヨハンにも当てはまるんじゃないかと希望的に思ってまして…。
どちらにしろヨハンのことを考えると、どうしても答えの出ない袋小路にはまってしまいますね。
せっかくコメントしていただいたのに、何日も放っておいて申し訳ありません(ToT)
もう見ていないかもしれませんが、一応返事を…。
質問の「チャペックは女装ヨハンを見たことがあるのか?」ですが、気にしたことなかったですねー。
でもチャペックは三匹のカエルで幼いヨハンが女装していたのを見ていますし、チェコでの「金髪の女事件」も知っている可能性もあるので、女装ヨハンを知っていてもおかしくはないんですよね。
まあ、ヨハンがチェコからドイツ(フランクフルト)に再び戻ってきた時には、もう女装はしていなかったとは思いますが…。
なので答えとしては、見たことはないけど女装していることもありうるので、「ヨハンか、妹か」と言ったと思っています。…これでどうでしょうか?
病室を出たヨハンの行方ですが、私はテンマを追いかけて行ったんじゃないかなと思います。特に根拠があるわけではないのですが、
・以前に「Dr.テンマは親みたいなもの」「親以上の存 在」など と話していた
・「あなたにだけ聞いてほしいことがある」と言うシーンが 直前にある
・記事に書かれていたように、シーツのドア側の部分がめく
れている
と言った点があるので何となく…。また、テンマは母親に会ってきたとは言っていますが、原作を見る限りでは場所まで教えているように見えないので、母親の元へ向かったと言うのは無理があるんじゃないかなぁと思いました。…それを言うとテンマを追いかけるのも無理じゃないかと言われそうですが。
初めての書き込みなのに長文乱文で失礼いたしました。
はじめまして。コメントありがとうございます。長文は大歓迎ですよ! むしろ返信が遅かった私こそ申し訳ありません。
>病室を出たヨハンの行方ですが、私はテンマを追いかけて行ったんじゃないかなと思います。
上の記事では母親の元に行ったのではないかと書いていますが、私もさらにその後にテンマを追いかけたはずだとも思っているんですよ〜。そうであってほしいという希望なんですが。
おっしゃるとおり、ヨハンは母親とはまた別にテンマを親に見立てていますよね。ラストまで読んで二人に愛着が湧いてしまった今では、もう君たち家族になっちゃいなさいよと思わずにいられません。
>場所まで教えているように見えないので、母親の元へ向かったと言うのは無理があるんじゃないか
ヨハンは母親の居場所をすでに知っていたと思うんです。ヨハンの能力を考えるとそのほうが自然だと思うので。それならなぜ今まで母親に会いに行かなかったかというと、やはり真実を知るのが怖かったのではないでしょうか。最後の「いらなかったのはどっち」という言葉を直接母親にではなく、テンマに言ったことからも、母に対する畏れを感じますし。
そんなヨハンの背中を押した一言が、テンマの「(君のお母さんは)君を愛していた。君には名前があった」だったんだと思います。
お返事ありがとうございました。そして記事の読み方が甘かったなぁと反省している次第です。
確かにヨハンぐらいの人物なら、母親の居場所ぐらい簡単に調べられそうですね。ただ個人的にはテンマと一緒に、あるいはニナと三人で再会してほしいなぁと思っています。やはり根拠はないのですが、ヨハンも一人で母親に会うのは心細いんじゃないかと思うんです。何せ過去のことがありますし…。最悪の場合また怪物になってしまうかもしれない。でも、テンマやニナがいれば力になってくれるはず。…私はそんな風に思っています。(妄想)
どんぐりさんの考察を読んでいると「なるほどなぁ」と思うことが多いです。そして私も、自分なりに書いてみようかなぁと思う今日この頃です。
ヨハンの力になってあげるテンマとニナ! いいですよね、私もそんな妄想ばっかしてますよー。ヨハンは今までずっと独りぼっちだったわけで、彼の苦しみを誰よりも知っているテンマとニナならそばにいてやれることもできると思うんですよね。
二人に支えられてお母さんに会いに行くヨハン。あー想像したら可愛いですね、ほんとに(笑)
テンマと双子、いつか家族になってほしいなとしみじみ思います。
>私も、自分なりに書いてみようかなぁと思う今日この頃です。
おお、ミナさんもブログかサイトをお持ちなんですか?
それならぜひ見てみたいです。
おっしゃるとおり、私は6年前からサイトを運営しています。先日MONSTERなどの漫画を取り扱うサイトを作ったのですが、できたてほやほやなので読めるものはあまりありません(笑)。ですがあせらずゆっくり作っていきたいなぁと思っています。
どんぐりさんも運営頑張って下さい。
やっぱりやってらっしゃるんですね! さっそくサイトにお邪魔しました。MONSTERに関する人様の文章を読むのが大好きなので、感想・考察、楽しみにしています。
あと川原泉もお好きなんですね。川原泉はほのぼの切なくていーですよね…もぎゅもぎゅ。
それからリンクもありがとうございます。休止状態で全く更新していないので申し訳ない気持ちもありますが…(^^;
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