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その2では詳しいエピソードを。
ネタバレ満載なのでご注意ください。



****************************



「無償の愛」がテーマと言われるこの作品。
シャンドライを愛したキンスキーは、彼女に愛されたい、振り向いてもらいたい
と切望したはずです。
自分が出来ることが何かを考え、不器用な彼は自分の財産を投げ打って
彼女の夫の保釈金に充てるという選択をします。
そんなことをすれば夫は彼女のもとへ戻ってきてしまうのに、迷いすら感じさせ
ないキンスキー。
神父の「命を失う者が救われる」という教えが彼の唯一の希望だったのでしょう。
救われる為、彼女の愛を欲するが為に、自分の命であるピアノまで売ることを
厭わなかったと。

だからこれは彼女の愛を得るための行動であり、本当の意味での「無償の愛」
ではないのだけれど、結果としてそうなってしまっているところに彼の苦悩が
見えてきます。

その行動のきっかけ、キンスキーがシャンドライに告白してからがこの映画の
本当の始まりと言っていいでしょう。
いつも屋敷でピアノを弾いているばかりのキンスキーが外出するところを
螺旋階段の上から偶然見かけるシャンドライ。
意外なあまり、掃除に使っていた白い布巾を落としてしまう。
白い螺旋階段の間を白い布がひらひらと落ちていき、最後はキンスキーの
頭へ。
それまでシャンドライを見つめる側だったキンスキーが、初めて見つめられる
側になった場面。
シャンドライとキンスキーの関係を象徴するために、螺旋階段を巧く使った
このシーンはこの映画の中でも印象深いです。



この映画での音楽は、単なるBGMではなく、登場人物たちの生き方、
背景にも及ぶ重要なファクターとして使われています。

対照的な二人は好む音楽も対照的。
ピアニストのキンスキーは毎日クラシック曲を弾き、屋敷には彼の奏でる
ピアノの音が響き渡る。
その音色は静かで悲しそうなものばかり。

アフリカ出身のシャンドライは明るいアフリカンポップスを好んで聴き、
キンスキーの奏でるピアノを理解できない。
いつも屋敷の上から聴こえてくるピアノの音を消すかのように、自分の
部屋にいる時はラジカセを鳴らしている。
音楽を聴きながらゲイの友人と楽しそうに踊るシーンを観ても、音楽は
楽しむもの、という彼女のスタンスが見えてきます。

そんな相容れない二人の関係が変化の兆しを見せるのが次のシーン。
シャンドライに恋したキンスキーは、彼女をイメージし、彼女への想いを
込めた曲を作曲します。
今までの静かな曲とは一変し、テンポの速い情熱的な曲。
彼の部屋で掃除機をかけていたシャンドライもいつもと違うことに気付き、
掃除機を止めて身体を揺らしながら聴き惚れてしまう。

この曲を弾きながらシャンドライを見つめるキンスキーの表情が、ピアノの
旋律とともに秘めた情熱を見せ、たまらないのです。
音楽によって二人の心の接近を描いた、この映画らしい素敵な場面です。



どの出演映画を観ても実感するのですが、デヴィッド・シューリスという役者は
繊細な演技が本当に巧いですね。

ピアノを売ってしまう直前に開いた最後のピアノの演奏会。
シャンドライを想ってピアノを弾くのだけれど、当の本人はそこにいない。
悲しそうな表情を浮かべながらもただひたすら彼女のためにピアノを
弾き続ける彼の姿。

出所した夫を屋敷のシャンドライの部屋に泊めてもいいかと彼女に
訊かれ、一瞬間を置いてから辛さを抑えるかのように頷くシーン。
「(夫は)尊敬できるいい人なんです」と彼女に言われた後、うつむいた
時の寂しそうな表情。

また、神父と酒を交わしたバーからの帰り、翌朝には着くであろう
シャンドライの夫のことを考えて彼女の灯りの点いた部屋を見つめる
彼のやるせない表情。

台詞の少ないこの映画の中でも特に少ないキンスキーですが、
シャンドライから一歩引いた所にいながらも、
これらのシーンで彼女への想いが切々と伝わって来るんですよね。
表情から、声音から、しぐさから。
改めて良い役者さんだと思いました。



夫が戻ってくる前夜、キンスキーへの恋心を身体で自覚したシャンドライ。
ここから一連のシーンがこの映画の真骨頂でしょう。
彼女が夢見つつに自身の身体をまさぐるこのシーンではキンスキーの
あの曲が流れ、彼女が夫ではなく、キンスキーを欲しているのだと
わかります。

シャンドライがキンスキーへの手紙を持って彼の寝室へ忍び込むシーンへ。
先ほどと変わり、BGMもなく聴こえてくるのは彼の寝息とシャンドライが動く
かすかな音だけ。
キンスキーの靴を脱がし、彼のシャツのボタンを外した彼女はそっと彼の
傍に横たわる。
足をゆっくり絡めると、彼の長い足も彼女に触れ……。
静かな静かな場面ですが、二人の想いがようやく重なったこのシーンは
過剰な演出もなくただ見とれるばかりでした。



そしてラスト。
それまで美しい物語を堪能していたのに突き放されるような終わり方で
賛否両論だそうですね。
観る側にゆだねるということなんでしょうが、彼女はベッドを降りたのだし
夫を選んだのでしょう。
キンスキーを振り払う手にも意志が込められていましたしね。
ただ言えることは、彼女がどちらを選ぶにせよ残酷なことには変わりはなく、
痛みと切なさが伴うのは間違いないということです。

キンスキーに思い入れのある自分としては辛いのですが、この映画が
単純なおとぎ話にならずに済んでいるのもこのラストのおかげかも
しれません。
あの最後があるからこそ、二人の日々がとりわけ眩しく切ないものに
思えるのかも。




余談ですが、キンスキーのその後。
家族が「キンスキーさん、生活能力なさそーだし、この後自殺しちゃいそう…」
なんてのたまってくれましたが、いえいえ、私はそんなこと信じません。

劇中、人前で演奏するのは嫌だと言っていたけれど、財産を売り払って
しまったので仕方なくプロの音楽家としてやっていくんじゃないかと。
子供たちに教えるような微々たる仕事ではなくてね。
それで脚光も浴びたりして。
あの神父さんも勧めていたし、あの人がまた仲介しそうな気もするんです
が……だめですかねえ。コネもありそうなんだけど。

ただそうなるとキンスキーのピアノを真剣に聴いていたあの金髪の女の子は
悲しむかな。遠い存在になっちゃったって。

………妄想話、失礼しました。



関連記事:
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シューリス見たさに「ネイキッド」
映画「アズカバンの囚人」 ルーピン先生語り
[エンタメ]映画・ドラマ | 20:40:00 | コメント(2) | ▲TOP
■ コメント

* はじめまして、サイコと申します。
このページには「シャンドライの恋」の検索で辿り着きました。

「シャンドライの恋」素晴らしい映画ですよね。
最近DVDを買って繰り返し見ています。
どんぐりさんの感想興味深く拝見しました。
ラストは、私もシャンドライは夫を選んだのだと思います。
明け方のローマの美しいこと・・・!
キンスキーが「I love you」と書かれた手紙を見たときの表情が、
物凄く好きです。やさしくて泣けました。

ここからは余談ですが、「海の地図」の他の頁も拝見していると
どんぐりさんと趣味がかぶりすぎで興奮してしまいました!(笑)
私もハリー・ポッターシリーズが凄く好きで、
中でも一番のお気に入りはスネイプ先生なんです。
ルーピン先生も、もちろん。
「ロード・オブ・ザ・リング」のファラミアもめちゃくちゃ好きです。
ついでにCoccoも好きです。

長々と失礼しました。
また遊びに来ますね!
2005-01-31 月 03:48:13 | URL | サイコ [ 編集]

* サイコさん、はじめまして。
コメントありがとうございます。

「シャンドライの恋」、映像も音楽も何もかもが美しくて
魅入ってしまいますよね。
でも綺麗な中にも最後には苦い余韻が残って、
それがまた忘れがたい映画になっているのだと思います。
キンスキーの表情は本当にいいですよね。
シューリスは正直「格好良い」外見ではないけれど、
「いい味」を醸し出せる面白い役者だなーと思います。
(あ、でもネイキッドは格好良いですよ!)

サイコさんもスネイプ先生、ルーピン先生、さらにはファラミアまで
お好きなんですか! それにCoccoも。
かぶってますねー(笑)

サイコさんのサイトにもお邪魔して映画レビューや日記を拝見しました。
「シャンドライ」のレビュー、バージョンアップなさるそうで楽しみです。
2005-01-31 月 22:48:53 | URL | どんぐり [ 編集]
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